解散すると、会社は営業能力を失い、事業を継続することができなくなります。このため、営業をするために存在していた取締役、代表取締役などの役員(監査役を除きます)は、退任することになります。ただし、会社が所有する財産・負債の整理を行う必要があるため、その範囲内で法人格をなお有しています。つまり、債権者に対して「解散したから後は知らない」などとすることはできません。ここで、取締役、代表取締役に代わって選任されるのが清算人という役員です。
清算人(このうち代表者は代表清算人)は、会社を消滅させるために、会社の残務整理を行います。(取締役が広げた風呂敷を、清算人が畳むというイメージ)通常、清算人にメリットは少なく、面白い業務でもないため、他人が進んで就任することは考えにくく、代表取締役がそのまま代表清算人にスライド就任するのが一般的です。法人に代表者は絶対に必要ですので、解散会社といえども代表清算人を選任しなければなりません。つまり、解散の登記と同時に代表清算人の就任の登記をおこなう必要があります。
解散するまでは代表取締役が会社を代表していましたが、解散後は代表清算人が会社を代表します。代表清算人の任務は会社を消滅させることであり、手続的には清算結了の登記をおこなうことで完了します。
1.解散時の会社の状況(財産・負債)を把握する。
事業年度の途中で解散した場合も、そこで区切って決算することになります。
2.解散時にすでに受注している案件を完了させる。
物品や役務の提供をおこなうか、受注をキャンセルすることになります。
解散する会社の多くは以前から休眠しているケースがおおいため、このような受注
残があることは少ないでしょう。
3.売掛金・貸付金などの回収や買掛金・借入金などの支払い
官報公告や、債権者への個別の催告が必要になります。2ヶ月間以上相手方の応答
を待たなければなりません。応答のあった債権者と債務の弁済方法を調整します。
債権者がいない場合は催告は不要ですが、官報公告を省略することはできません。
4.余った財産を分配します。
債務を弁済した後に残った財産は、株主の残余財産分配請求権に基づいて分配
されます。
5.清算結了の登記をおこなう。
会社は、法務局の帳簿上である閉鎖簿に移され、法人格は完全に消滅します。
清算結了の登記をおこなった後に、例えば会社名義の自動車などが見つかった
としても、名義変更はおろか廃車することもできない状態に陥りますのでご注意
下さい。
6.帳簿資料を10年間保存する。
10年間保存する義務があります、誤った清算手続であれば遡って調査される可能
性があります。清算手続は税務、法務、労務が関連する複雑な手続です。法律上は
清算人の職務ですが、実務は専門家が執り行うこととなります。
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