オーストラリア法人を設立する際にはオーストラリアン・カンパニー・ナンバー(ACN)を、外国企業の支店を開設する際にはオーストラリアン・レジスタード・ボディ・ナンバー(ARBN)を取得する必要があります。このほか、税務対応上、企業納税登録番号(ABN)なども必要です。
A.法人設立
会社登記は、下記事項を示した申請書をオーストラリア証券投資委員会(ASIC)に提出することにより行います。
1.会社名
2.取締役(Director)、株主、秘書役(Secretary)の氏名および住所
3.第1回目株式発行の詳細(株式有限責任会社もしくは無限責任会社については、発行株式数、
種類、払込金額(金額が払い込まれていない場合には各株主の未払金額))
4.会社の登録所在地、または公開企業で通常営業時間以外に営業する場合は営業予定時間
会社登記申請は、取締役および秘書役、またはそれらが指名したエージェントの届出に基づいて行
われます。ASICは、申請手数料を受領した後、登記を行い、「登記証明書」を発行します。
会社登記が行われると、9ケタのオーストラリアン・カンパニー・ナンバー(ACN)が発行されます。
「オーストラリア会社法」では、すべてのオーストラリア法人に対し、会社の印章、公文書ほか、業務
上、利用されるすべての文書に社名およびACNを明記することが義務付けられています。
B.支店開設
外資系企業の事業所設立については、ASICに対して下記の書類を提出し、外国企業登録を行います。
1.法人設立認可書、もしくはそれに該当する文書の認証つき写し
2.会社定款の認証つき写し
3.「オーストラリア会社法」のもとで設立される会社と同様の詳細事項を記した取締役リスト、ならびに
オーストラリアに居住する取締役および現地取締役会の構成員の確認
4.現地取締役会の構成員がいる場合には、現地取締役の権限を示す外国企業からの覚書
5.オーストラリア国内、もしくは海外において担保に提供している会社の財産(ある場合)の詳細
6.登録事業所、もしくは法人設立した場所における主な営業所の所在地
7.オーストラリアの登録事業所の所在地
8.現地代理人の任命にかかわる覚書
9.現地代理人による所定フォームの宣言書
この外国企業登録に対して、9ケタのオーストラリアン・レジスタード・ボディ・ナンバー(ARBN)が付与されます。「オーストラリア会社法」では、すべての外国企業に対し、会社の公文書および業務上、利用されるすべての文書に社名およびARBNを明記することが義務付けられています。
C.共通(法人設立/支店開設)
このほか、オーストラリア税務局(ATO)に対して行われるGST(Goods and Service Tax)登録、PAYG(Pay As You Go:源泉課税、連結納税ベース)登録など納税手続の関連で、企業納税登録番号であるオーストラリアン・ビジネス・ナンバー(ABN)の取得も必要です。また、海外投資家による会社設立の場合には、外国投資審査委員会(FIRB)に「投資提案書」を提出しなければならない場合もあります。
ビジネスを行うことができる主な事業形態は以下のとおりです。
1.会社(外国企業の現地法人、支店を含む)
2.パートナーシップ(合名会社)
3.個人事業主
4.トレーディング・トラスト(通常、受託者により事業運営される)
5.法人格のないジョイントベンチャー(合弁会社)
なお、会社形態としては、Limited Partnerships(合資会社)、Proprietary Limited Company(有限会社)、Public Company(公開会社)、Co-operative Enterprise(共同株式会社)、Associations(協会、連合)と呼ばれるものもあります。授権資本金に関する制限や定款についての規制は特にありません。 |