<例 示> 植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事など ■補則 近年ではテーマパークなどの施設から、集落や都市の環境改善、自然風景地などにいたるさまざまな空間を対象に、計画、デザイン、施工、管理にまたがる技術の体系で、造園そのものは古代から多くの文明で行われてきたが、職能の分化が明確になる近代では、建築、土木や都市計画などとともに環境づくり、環境デザインの主要分野のひとつを成す。また農学分野の中でも美的側面を重要視する専門領域である。最近では専門領域の区別はあいまいになり、分野間のコラボレーションや役割の入れ替わりなどが起こっている。特に景観の保全や整備に関する研究、計画、デザインなどはどの分野でも行われている。 造園の扱う対象の範囲を考えてみると、造園が広義の生活環境を創造・保全するものであるとすれば、空間的に造園の範囲は、小さくは個人の庭空間から日常生活空間から広場などの都市諸施設や国土的スケールの生活空間まで含まれる。そして造園において造るという行為は、実際土木工学と同じようにその一連の調査計画〜維持管理まで拘ることとなる。特に個人の庭空間や農園および農風景の創出から発した造園は人間のあらゆる生活空間において快適性の享受等を行うことを目的としていることから、地域環境整備、諸施設の外部空間等や住む、働く、くつろぐ、交通という生活の様々な活動すべてにかかわる場が造園の対象範囲となるといえよう。 これらの造園の対象空間は人間の手を加えた山林や里山(二次林など)も含め広義の「緑地」という概念が一般的に用いられている。造園空間はまた管理行為が重要であり、管理行為自体が造園空間を造る行為にほかならず、並木や庭園植栽などは毎年複数の人間の手によって手厚く管理された二次的自然であり、その生態系の四季ごとの変容は高いアメニティ価値をもち、雑木林管理に採用される萌芽更新手法は、大きくなりすぎた樹木の伐採、切り株からの萌芽によって高さを抑え、樹林密度を一定に保つ。こうした生態系のシステムを生かして管理された二次林として雑木林は落葉広葉樹を主とすれば新緑から紅葉、落葉へと四季に応じて色変化が自然の豊饒さを感じさせる。雑木林など里山は明確な空間的輪郭をもっていないため、都市空間の中で都市との連続性が得られやすい特性をもち、そうしたコリドー型エコロジーが適性な管理によって守られ、結果として美しい記憶に残る風景を生み出しているのである。また建物内外に問わず設置される植物や緑のディスプレイおよび花壇などの展示植栽もあわせ、社会のニーズが求めうる多様な環境・緑化空間の創造や 維持管理を行っていく必要がある。 なお緑地の土木的基盤整備は農業土木行為であり農業環境工学という別分野であり、森林を扱うのも林業や森林施業などで厳密には林学/森林科学で扱う分野であり造園行為とは多少異にするし、現代社会において環境全体を扱うにあたり建築や土木施設があってほかに自然や森林と農業空間というだけでは生活空間創出は成り立たず、人間と自然との関わりの中からつくられるひとつの風景としてあつかう理論と方法論が必要となってきている。 戦後における環境問題として、大都市地域を中心とした都市のオープンスペースや緑空間の急速な減少傾向やまた景観破壊の問題があり、昭和30年代以後の急激な市街化は近郊の山林や里山/二次林など諸空間、都市地域の内部及びその周辺地域の生活環境に大きな影響を与え、都市内外における自然環境及ぴ各種オ一プンスペースの減少、あるいは荒廃となって現れてきた。アメリカの都市思想家ルイスマンフォードによれば、期待されるオープンスペースとは健康と安全機能と共に、生物学的機能や社会的機能としてレクリエーションに役立つ空間であるべきだと述べられている。これに対し行政サイドとしては、都市公園整備や観光農園や棚田などの農空間整備と田園環境の創出を始めとする造園資源や公的オープンスペースの確保等が、また景観の形成に関する分野についても修景改善がすすめられた。また私的オープンスペースについても各種の助成・規制などの措置が講じられ、環境改善の努力は進められている。私たちの目指すべき魅力的な空間とは、都市では広場や自然とオープンスペースを骨格とし一人一人が異なったライフスタイルを楽しめ、豊かな生活風景を生む都市構造を持っていることが計画や設計の鍵となっている。